Radeon Ⅶを購入。低電圧化とベンチの比較(VEGA64と比較)


2019/02/10

RadeonⅦが発売されたので、秋葉で購入。
前回のVega64と比べ、VRAMが16GB、メモリバス帯域幅が1TB/sとスペック上はとても魅力的で、Vega64と比べ性能も少しアップしていることで気になったので購入。
今使用しているVega64簡易水冷モデルと比べ、どのくらいゲームにおける性能が上がっているのか、また、RadeonⅦの電圧がどのくらい下げられるかを、 私の環境で比較してみた。

外観

今回リファレンスモデルだが、ファンが内排気仕様の3連ファンとなっている。
3連ファンは、Nitroなどメーカーオリジナル仕様でよく採用されていることもあり、 リファレンスにしては今回よく冷える。が、ファンは特に工夫も無く普通の物であるため、音は大きい。


外部出力は、DisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0の構成。VRで遊ぶにしても、問題無い構成だ。(HTC ViveProはDisplayPort1つで十分なため)
Vega64と異なり、グラボの熱を逃がすように工夫が見られる。実際ゲーム中に手を当ててみると、熱風がでており、熱が良く逃げるのがわかった。


両側面は、中のヒートシンクが結構見える構造になっており、熱を逃がすように設計している。サイドパネルにファンを増設できるケースを使用している人は、冷却効果も高めることが可能
(試しに12cmを2個あてるようにしてみたところ、2~3度低くすることができた。)
ちなみに、今回はインジゲーター(GPUの使用率に応じてLEDが光る)は搭載されていないし、プライマリ、セカンダリの切り替えもない。

ベンチマーク・ゲームでFPSを計測

公式で比較したベンチがあり、比較する意味もない気もするが、Vega64と比べどのくらいFPSがでるかを測定してみる。
検証PCのスペックは以下の通り。使用中のディスプレイがFS2735のため、画質はWQHD(一部4K設定)で行い、CPUもクロックを固定し、HTTをオフにした状態で検証。


構成
CPU Core i9 9900K @4.7GHz固定、HTT OFF
CPUクーラー Noctua NH-D15
マザーボード ASUS ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI) バージョン 0805
メモリ CORSAIR VENGEANCE LPX 32GB (2 x 16GB)  DDR4-3200で起動
グラボ(新) Radeon Ⅶ (リファレンスモデル@HBM2 1000MHz設定)
グラボ(旧) Radeon RX Vega 64 Liquid Cooled Edition @HBM2 1000MHz設定
ストレージ SSD 256GB(OS起動用)、HDD 2TB
サウンドカード SoundBlasterZxR
電源 Seasonic PRIME Ultra Titanium SSR-850TR
OS Windows10 Pro 1809
ケース Cooler Master CM690Ⅲ(吸気ファン×6,外排気ファン×1)
モニタ EIZO FS2735
ドライバ Adrenalin 2019 Edition 19.2.1 for Radeon VII

ベンチマーク・ゲームのフレーム計測結果

検証ソフトは、DirectX 11設定のGTAVのベンチマーク、DirectX 12設定の FarCry5等で計測。  

  • 3DmarkはWQHDと4Kの設定で計測。
  • GTAVは「異方性フィルタリング x16 MSAAx2 リフレクションMSAA x2」で設定。それ以外は最高設定。
  • トゥームレイダーはTAAで最高設定で実行。
  • バイオRE2は、メモリが7.5GBになるように設定し、ハンク編でFPSを計測(SMAA + TAA、レンダリング100%)
  • Gameworks採用ベンチとして、FF15のベンチをWQHDで実行。

ソフト名 RadeonⅦ Vega 64 Liquid Cooled
3DMARK(Fire Strike Extreme) Graphics:13551 Graphics:11989
3DMARK(Fire Strike Ultra) Graphics:6868 Graphics:6102
3DMARK(Time Spy) Graphics:8881 Graphics:8168
3DMARK(Time Spy Extreme) Graphics:4313 Graphics:3884
Shadow of Tomb Raider 平均:85 最小:65 最大:129 平均:72 最小:57 最大:114
GTAV 平均:84 最小:68 最大:110 平均:72 最小:56 最大:94
FarCry5 平均:108 最小:93 最大:132 平均:95 最小:84 最大:114
BIOHAZARD RE:2 平均:121 最小:82 最大:184 平均:104 最小:73 最大:151
FINAL FANTASY XV 5260 5679

結果だが、公式の通りVega64と比べて、15%~20%ほどフレームレートの数値が上昇している。
3DMarkのTimeSpyは、DirectX 12だがFeature Level 12_1を使用していることもあり、競合製品と比べて思ったよりスコアはでない(Radeonが有利なのは、Feature Level 12_0)
FFのベンチはなぜか下がってしまった。ドライバの問題なのか。ある程度更新されたら再度計測したい。

WQHDでAAをとても重い設定にしない限り、各種最高設定でも110は出せるため、FreeSync対応のWQHDディスプレイを使用している人にとっては良い結果であると思う。
私の手元にないため、正確な比較はできないが、競合の2080に追いつけそうというところまで来ている。

Radeon Ⅶの低電圧設定と消費電力

前回のVega64が、低電圧で設定するとクロック数を上げ、性能の向上にもつながり、調整のしがいがある商品だったため、今回も私の固体でGPUクロックの電圧がどのくらいまで下げられるかを確認する。
設定方法は、WattManで最大時のGPUクロックの電圧のみ変更。初期設定のGPU最大クロックは1802Mhzのままで測定。
測定は、Radeonのパフォーマンス監視でCSV出力したものから、「電力が一番大きい値」を記載し、その時のクロック数も記載(ファンの回転数の違いもあるのか、クロックが低くても電圧が高い物があったため、単純比較できなかった)


設定Ptn 電圧設定値(P7) 消費電力/クロック数(実値) 判定
デフォ 1058mV 289w / 1757mhz ◎:3Dmarkの負荷テスト・ゲームも問題なし
PTN1 1038mV 255w / 1763mhz ◎:3Dmarkの負荷テスト・ゲームも問題なし
PTN2 1028mV 239w / 1766mhz ◎:3Dmarkの負荷テスト・ゲームも問題なし
PTN3 1019mV 235w / 1765mhz ○:3Dmarkの負荷テストは完走できないが、GTA5・バイオRE2で遊んでも問題なし。
PTN4 1010mV 230w / 1767mhz ○:3Dmarkの負荷テストは完走できないが、GTA5・バイオRE2で遊んでも問題なし。
PTN5 997mV 221w / 1762mhz △:この電圧でGTA5を遊んだ所、まれにフリーズする。これ以上下げると画面のちらつきも発生

デフォルト設定と比べ、PTN5の消費電力が68wも少なくなった。7nmが聞いているのか、Vega64と比べてかなり電圧を下げることもでき、消費電力が100w近くも低くなった。
RadeonⅦは、低電圧にしても最大クロック数の1802Mhzを超えることは無かった。その代わり、三連ファンの回転数が、電圧を下げれば下げるほど低くなる傾向にあった(デフォは最大2921RPM、PTN5は最大2631PRM) ファンの音が気になる人は、電圧を下げた方が良いかもしれない

私の個体では、1000mvを切るとちらつき又はフリーズするときがある。950mvで問題無い人も海外にはいるようだが、PTN4の1010mvで問題はなさそうだったので、この電圧でしばらくは運用していくつもりだ。

バイオハザードRE2で限界突破設定でVRAMをふんだんに使ってみた。

Radeon ⅦのVRAMが16GBあるので、有効活用できそうなバイオハザードRE2で限界突破設定でメモリをぎりぎりまで使う設定で、常用可能かを確かめてみた。
私の環境では、解像度がWQHDのため全て「最高設定」だけでは、15GBを超えなかった。イメージクオリティを変更して、15GBまで使用できた。


限界突破設定で、ハンク編をプレーしてフレームレートを確認してみた。結果か以下の表の通り。
200%はゲームどころではなかったので、除外するとして、150%は60FPSを超えることが多かった。100%では、平均して100FPS以上出ていたので、常用しても問題無かった
特にバイオRE2は、現在フレームが高ければ高いほど、ナイフの威力が上がる仕様なので、100FPSは最低必要だ。試しに、G第一形態で試したところ、103FPS~110FPSだった。

設定値(イメージクオリティ) フレームレート VRAM使用量(WQHD)
200% 最小:32 最大:45 15.09GB
150% 最小:45 最大:75 13.69GB
100% 最小:67 最大:160 12.69GB

まとめ

  • 性能は、Vega64と比べ消費電力もフレームレートも向上している。
  • 熱を下げるための工夫が見られ、オリファンにしては冷える。
  • WQHD画質なら、最高設定でも100FPSを超える。
  • 初期設定でもGPUクロックが1802Mhz以上出る場合もある。
  • 3連ファンの音は大きいが、その分GPUが冷える。初期設定だと60~65度くらいの調整
  • 軽いゲームなら、3連ファンの音が気にならない。
  • Vega64のファンに比べれば、3連ファンの音は少し小さい。
  • 今回も低電圧化は可能。調整によって、ファンの音も少し押さえられる。
  • 低電圧化で、50w以上は低くできる。
  • 低電圧化する場合、電圧を下げすぎるとちらつきやフリーズするので注意。
  • バイオRE2の限界突破設定でも、問題無く遊べる性能。