サファイアから発売されたAMDのハイエンドGPU「Radeon RX 6900XT Nitro+」を購入しました。
オリファンモデルのRX 6900XTでどのくらいまでGPUクロックが出るか、またそのときの温度がどのくらい出るかを確認しました。
※当ページはSAMの設定を有効にした状態で検証しています。
※低電圧化・OCは故障の原因の上、メーカーの保証対象外なので自己責任です。
リファレンスと同じ3連ファンとなっており、従来のNitroシリーズと同じ逆回転構造(中央のファンのみ逆回転)となっています。サイズですが2.7スロットの310mmとなっており、リファレンスと比べると44mmも大きいです。(リファレンスは266mmの2.5スロット)
ファンは従来と同じく、ネジ1本で取り外し可能となっています。掃除するときとても楽ですが、ARGBファンと交換できるところがポイントです(現時点では未発売なのでそのうち交換ファンが出ると思います。)
外部出力は、DisplayPort 1.4 ×3,HDMI 2.1の構成です。USB TypeCは付いておりません。リファレンスと異なり、熱を逃がせる構造になっています。
バックプレートにはアドレサブルRGBが付いており、マザーボードと同期ができます。色の指定やマザーボートとの同期は、ソフトウエアの「SAPPHIRE TriXX」で簡単に設定できます。
PCI-Eは8ピン×2です。他のリファレンスは8ピン×3ですが、サファイアは2個で済みます。
左下にはBIOS SWITCHがあり、OCモードと省エネモードの選択が可能です。
OC設定時の温度やフレームレートについて確認していきます。検証するPCの構成は以下の通りです。
モニターはHDRに対応していないため、計測結果は設定値OFFの状態になります。
構成 | |
---|---|
CPU | Ryzen 9 5950X (PBO) |
CPUクーラー | Noctua NH-D15 |
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO(WI-FI) BIOS ver.3003 |
メモリ | CORSAIR VENGEANCE LPX 32GB(2 x 16GB、3600 CL16) |
グラボ | SAPPHIRE NITRO+ RX 6900XT SAM有効 |
ストレージ | SSD 256GB(OS起動用)、SSD M.2 ×2(WD SN850、SN750)、HDD ×2(2TB、1TB) |
サウンドカード | Sound Blaster AE-9 |
電源 | Seasonic PRIME Ultra Titanium SSR-850TR |
OS | Windows10 Pro 2009(20H2) |
ケース | Cooler Master MasterCase H500M(20cm 吸気ファン×2、負圧) |
その他 | LEDテープ×3、LEDファンフレーム×4、14㎝ファン×1、12cmファン×3 |
ドライバ | Adrenalin 2020 Edition 20.12.1 Optional |
モニター | EIZO FS2735 2560×1440 144Hz |
私のNitro+の電圧・クロックのデフォルト設定値(手動設定に変更した直後の値)ですが、「最大周波数:2524MHz、電圧:1175mv」でした。リファレンスモデルでも個体差があるようですが、
リファレンスモデルは「最大周波数:2509MHz、電圧:1175mv」でしたので、15MHzほど高いです。
Nitro+の電圧を変更した状態で3DMARKの「Time Spy Extreme」のスコアを計りました。
結果ですが、低電圧設定は、リファレンスと同じく100mV下げても3DMarkや実際のゲームでエラーで落ちることはありませんでした。リファレンスと同様、電圧を下げた方がスコアが向上しました。
設定パターン | 電圧設定値 | スコア(Time Spy Extreme:グラフィックスコア) |
---|---|---|
デフォルト | 1175mv | Graphics:9110、GPTest1 61.20 FPS、GPTest2 50.90 FPS |
パターン1(PL+15%のみ変更) | 1175mv | Graphics:9298、GPTest1 62.28 FPS、GPTest2 52.08 FPS |
パターン2(PL+15,UB) | 1075mv | Graphics:9443、GPTest1 63.10 FPS、GPTest2 52.99 FPS |
シャドウオブザトゥームレイダーでレイトレ設定を最高にしてアンチエイリアスを高負荷の「SMAA4x」すると高クロックがでるため、オーバークロック設定で実際にでるクロック数を計りました。
下記の動画では、GPUクロックを「2799Mhz」に設定していますが、実際のクロックは2754Mhz~2500Mhzが出ております。リファレンスモデルでも同様の内容で計測したのですが、ジャンクション温度が次第に高くなっていったため、
高クロックをキープできず2500MHz台まで落ちていました。
ですが、オリファンでかなり冷えるせいが、Nitro+の場合はジャンクション温度を83度でキープすることができ、水中やフィールドで2700Mhz以上を連続で出すことができています。
リファレンスより冷えることで高クロックをキープできることがわかったため、GPUクロックを2799Mhzに設定してベンチマークを実施して確認してみます。
リファレンスモデル(空冷)で計ったゲームのうち、2つピックアップして確認します。リファレンスモデルで計測したときは2709MHzの設定値で行っていたため、リファは参考程度として見て下さい。
設定はすべて最大、FXAAオン、MSAA×8でベンチマークを実行。結果はベンチマークのPass4(ハリアーから車に乗る様子)の結果を記載しています。
GTAⅤでも2750Mhzを出すことができ、ジャンクション温度も上がらなかったので2600~2750Mhzをキープできました。
計測パターン | スコア・フレーム数 |
---|---|
リファレンスOC設定 | 最高:187.2 最小:43.3 平均:93.8 |
Nitro+OC設定 | 最高:190.0 最小:43.9 平均:97.6 |
全項目最大の値に設定し、HDRを64bit、アンチエイリアスTAA、High Resolution Texture PackのDX12設定で計測しました。
リファレンスの計測時と同じく、渡りの凍て地のマップ7番キャンプ→15番キャンプへ移動した時に計測しています。
リファレンスの時は高クロックが出てジャンクション温度が直ぐ100℃を超えてしまい、クロックがガタ落ちしました。Nitro+だとジャンクション温度が83度キープできるので、高クロックをキープできました。その結果、最小フレームが112フレームとブレが少ない結果となりました。
計測パターン | スコア・フレーム数 |
---|---|
リファレンスOC設定 | 最高:120.9 最小:91.6 平均:112.7 |
Nitro+OC設定 | 最高:127.4 最小:112.6 平均:118.6 |
リファレンスだと出力端子に排気口がないためPCケースに全部排出してその周辺のパーツの温度が高くなってしまい、SSDの温度が50度を超えていましたが、Nitro+だと出力端子からも逃がす構造のおかげで PCケース内の温度が若干下がりました。グラボの裏にM.2のSSDを使用していますが、SSDのヒートシンクに当たる熱が少ないせいなのか、SSDが50℃から44℃まで下がりました。 リファレンスと同じくファンを強くしても静かでした。
Nitro+ですがリファレンスと比べると重量が軽いです。300mm越えなので不安でしたがマザーボードのPCI-Eが強化タイプのため、GPUサポートステイを使用せずともたるまない位の軽さでした。 逆にリファレンスは重いのでサポートステイを使用しないとたるんでました。
6900版Nitro+のクロックですが、6800XT版と比べるとブーストクロックが100Mhzも小さいとHPには書いてあります。ですが、6800XTのNitro+と同じくらいの2380Mhzが普通に出ますし、 レイジモードでもたまに2500Mhzでます。購入する前はブーストクロックが6800XTより低いし値段が高いから微妙では?と不安に思っていましたが実際は全然違いました。HP見ただけだと敬遠する人がいそうですけど全然OCできるので大丈夫です。
以上でサファイアのオリファンモデル Nitro+ RX 6900XTの実クロック確認と簡単なレビューになります。
値段が高いのが問題ですが、Radeonの老舗であるSAPPHIREなので作りはしっかりしてますし、リファレンスに比べれば冷えるので水冷しない人ならオーバークロックしやすい製品です。