サファイアから発売されたAMDのGPU「Radeon RX 7900XTX Nitro+」を購入。
RX 6900XTX Nitro+(8Pin
×2)から7900XTXに変更したが、8Pinが3つになったため前より消費電力が多くなっているので、なるべく消費電力を抑えて使用したい。OCして競合製品の性能に近づけても消費電力の高さが気になってしまう。余程のことが無い限りフルパワーで常用したくない。
今回の7900XTXは今までと違いOCが少し難しく、GPUクロックを上げすぎるとメモリクロックが下がりパフォーマンスが悪くなってしまう。クロック(メモリも含む)と電圧をバランス良く設定する必要があるため、標準設定よりフレームが出る設定を探していく。
また、ドライバの熟成度を確認したいため、デュアルディスプレイ時でバージョン毎に待機消費電力・動画閲覧時・144FPS固定@WQHD時の消費電力を確認する(23.1.1以降のVerが対象)
※当ページはSAMの設定を有効にした状態で検証。
※低電圧化・OCは故障の原因の上、メーカーの保証対象外なので自己責任で。
カードサイズは320 x 135.75 x 71.6mmの3.5スロット。冷却するためのマグネシウム合金フレームを採用しているからか2Kg近くあるのでVGAサポーターは必須。付属品としてSAPPHIREロゴ入りのVGAサポーターがあるので特に追加購入は不要。今までのNitroと比べてデザインがシンプルになっている。両サイドにRGBバーがあるので縦置きする人には良いかも。横置きだとマザボ側が無駄に光ってしまうが間接照明にはなる。
外部出力は、DisplayPort 2.1 ×2、HDMI 2.1 ×2の構成。USB TypeCはなし。
当サイトのPC構成は以下の通り。
モニターは4Kではないため、4Kを計測するときは仮想超解像度を使用する。
構成 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen 9 5950X |
CPUクーラー | Noctua NH-D15 |
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO(WI-FI) BIOS ver.4304 |
メモリ | CORSAIR VENGEANCE LPX 32GB(2 x 16GB、3600 CL16) |
グラボ | SAPPHIRE NITRO+ RX 7900XTX(SAM有効) |
ストレージ | SSD 256GB(OS起動用)、SSD M.2 ×2(WD SN850)、HDD ×2(2TB、1TB) |
サウンドカード | Sound Blaster AE-9 |
電源 | Seasonic PRIME-PX-1000 |
OS | Windows11 Pro (22H2) |
ケース | Cooler Master MasterCase H500M(20cm 吸気ファン×2、負圧設定) |
その他 | LEDテープ×3、14㎝ファン×1、12cmファン×2 |
ドライバ | Adrenalin 23.1.1 |
モニター | EIZO FS2735 2560×1440@144Hz |
調整する前に簡単なレビューを。初期設定の状態で使用してみたが、特にコイル鳴きも無く、ファンの音がとても静かで驚いた。オリファンなので400Wも消費電力があるから熱くなってファンの回転数も大きくだろうと思っていたが、冷却性能が高くGPUとホットスポットの温度が高くならないため、ファンの回転数が1500RPMくらいで音がとても静かだ。ホットスポットは高くなっても79度にしかならない。流石SAPPHIREだと思った。
消費電力とクロック数が違いすぎるので単純な比較にはならないが、今まで使用していた6900XTXと7900XTXでどのくらい性能が上がったかうちの環境で確認してみた。 7900XTXはBIOSをPrimaryデフォルトで、6900XTXは低電圧化 + PL+15した設定で計測している。解像度はWQHD・プリセット最高で計測し、FPSは平均値を記載。 VR性能の確認は行っていない。Vive2を持っているが、VRchatはやっておらず負荷がかかるソフトはHalf-Life: Alyxしか無いため未計測。
サイバーパンクとか重いゲームはあともう少しだが、WQHDで平均フレームが144を超える結果になった。ディスプレイ上限が144fpsのもので144出すとティアリングが発生しがちになるのと、入力遅延があるようなことが報告されているので141FPS固定で使用している人が多いと思う。それであれば、7900XTXはWQHD環境ならちょうど良いと思った。
気になる点としては、なぜかドライバのVer.23.1.1(WHQL)だとSAPPHIRE製アプリ「TRIXX」のFan Health Checkで1000PRM位しか回転せず、失敗するという事象が私の環境で発生している。あと、Adrenalineにあるオーバークロックのテスト機能も500~1000PRM程度となり機能しない。1つ前のドライバVer.22.12.2に下げるとMAXの3300RPM回転して成功する。DDUを5回やって5回とも失敗しているのでこのバージョンのドライバには何かかるのかもしれない。その他には、ドライバのバグでデュアルディスプレイだとパフォーマンスが下がるバグが解消されていないので、1画面でないと結構FPSがさがってしまう。サイバーパンクだと6900XTと差がないくらい下がる。早く解消して欲しい。
スコア・平均FPS(ベンチマーク機能を使用) | 7900XTX | 6900XT |
---|---|---|
3DMark:FireStrike Ultra (Graphic) | 21,004 | 14,891 |
3DMark:Time spy (Graphic) | 30,647 | 21,879 |
3DMark:Port Royal Ver1.2 | 15,259 | 10,609 |
SOTTR:レイトレ無 | 232 FPS | 172 FPS |
SOTTR:レイトレ有 | 146 FPS | 99 FPS |
Forza Horizon 5 | 150.6 FPS | 134.4 FPS |
Cyberpunk 2077 | 130.68 FPS | 93.96 FPS |
Dying Light 2(DX11) | 180.51 FPS | 122.52 FPS |
オリファンモデルをフル活用できるPrimaryモードの設定でメモリ、電圧、クロック、PLを調整してベンチマークを回してみた。大変見づらくて申し訳ないが、エクセルでまとめた画像を貼る。調整してわかったことは以下の通り。
メインクロックが高すぎると性能が落ちてしまうことがあるため、メインクロックとメモリ、電圧をバランス良く設定した方がパフォーマンスが良くなる。今までは低電圧してメモリとメインクロックを上げればベンチスコアが上昇するので楽だったが、7900XTXではバランス良い値を見つけないと伸びない。
Primaryで使用するのであれば、クロック2960Mhz、1090mv、メモリ2700Mhz、PL+0がちょうど良い結果になった。消費電力は403Wだが3DMarkのTimespyは31911でるし、トゥームレイダー(レイトレ無しのWQHD)で平均238FPSでる。 PL+15すると464Wもでてしまうが、RTX4090にスコアボロ負けだし電力が高すぎるので微妙。そこまでスコアも伸びない。
ちなみにファンの回転数設定はゼロPRMをオフにしただけで特に弄っていない。弄らなくても十分冷える。
続いてリファレンスとほぼ同等の電力制限になるSecondaryモードで調整した。多少の誤差はあるものの、良いスコアとなったのは347W(クロック2920Mhz、1090mv、2714Mhz、PL+0)の設定値と 315W(クロック2560Mhz、1090mv、2714Mhz、PL-10)の設定値だ。Timespyのスコアだが前者は30264、後者は29482となった。
3DMarkのスコア上ではSecondaryのデフォと差は無かったが、PL-10にするためクロック数を2500Mhz程度に制限していることもあり、実際のゲームでは平均FPSが低くなってしまう(デフォルトでも2700Mhz出るときがあるため)。そのため350W出て欲しくない状況やパワーがそこまで必要ないゲームを遊ぶのであれば、PL-10の設定値で常用しても問題無いと思う。
以下の画像は、Primary・Secondaryで良い結果となった設定値を使用して測定した平均FPSをまとめたもの。この3設定で平均フレームがどのくらい出るか計測していく。
求めた3設定での平均FPSの計測結果。Far Cry6は何故かこの解像度では差がでなかった。
対象ソフト | Primary | Secondary,PL+0 | Secondary,PL-10 |
---|---|---|---|
Forza Horizon 5 | 152.8 FPS | 148.3 FPS | 139.4 FPS |
Cyberpunk 2077 | 133.80 FPS | 127.60 FPS | 127.39 FPS |
Dying Light 2(DX11) | 182.58 FPS | 174.46 FPS | 163.40 FPS |
Far Cry6 | 140 FPS | 140 FPS | 140 FPS |
仮想超解像度の機能で4Kにして計測した平均FPSの結果。
対象ソフト | Primary | Secondary,PL+0 | Secondary,PL-10 |
---|---|---|---|
SOTTR:レイトレ無 | 136 FPS | 134 FPS | 131 FPS |
SOTTR:レイトレ有 | 83 FPS | 81 FPS | 79 FPS |
Forza Horizon 5 | 123.3 FPS | 120.2 FPS | 113.1 FPS |
Cyberpunk 2077 | 73.66 FPS | 69.77 FPS | 67.22 FPS |
Dying Light 2(DX11) | 96.61 FPS | 95.45 FPS | 92.85 FPS |
Far Cry6 | 125 FPS | 122 FPS | 120 FPS |
今回求めた設定値。許容できる消費電力によって設定を使い分ける。
デュアルディスプレイ環境でのアイドル時と動画再生時の消費電力、WQHDで144FPS固定にさせたときの消費電力を計測。ドライバのバグが解消されたかの確認となる。
144FPS固定は、MHWのアステラ拠点流通のスタート位置で放置して計測。リファレンスと同等の消費電力になるSecondaryモードのデフォルト設定で確認している。
ドライバのバージョンが更新され次第、随時更新予定。
23.7.1で一部の環境(4K@120Hz)は解消していたが、私の環境では23.8.1で改善が見られた。修正履歴を見るとさらなる改善のための調査を行っているようなので消費電力は 今後も改善されそうだ。シングル環境だと12wまで下がるので、デュアル構成にしてもこのくらいの消費電力になって欲しい。
※23.1.1~23.5.2は既知の問題に消費電力高くなるバグ、マルチディスプレイでパフォーマンス低下バグありバージョン | アイドル時 | 動画再生時 | 144FPS固定時 |
---|---|---|---|
23.1.1 | 39 w | 57 w | 281 w |
23.2.1 | 43 w | 54 w | 260 w |
23.2.2 | 41 w | 50 w | 275 w |
23.3.1 | 53 w | 54 w | 327 w |
23.3.2 | 53 w | 53 w | 270 w |
23.4.1 | 52 w | 52 w | 297 w |
23.4.2 | 55 w | 55 w | 299 w |
23.4.3 | 53 w | 53 w | 280 w |
23.5.1 | 50 w | 50 w | 269 w |
23.5.2 | 49 w | 52 w | 267 w |
23.7.1 | 49 w | 49 w | 271 w |
23.8.1 | 27 w | 29 w | 281 w |
23.9.2 | 15 w | 39 w | 289 w |
23.9.3 | 8 w | 36 w | 286 w |
23.10.1 | 7 w | 36 w | 289 w |
ドライバVer 23.1.1と比較してどのくらいFPSが伸びているか気になったため、ドライバver 23.5.2で再度計測してみた。個人の使用環境でどのくらい性能がアップしているかを確認するため、デフォルト設定ではなく、「まとめ」で求めたSecondary BIOS、PL+0の設定値で計測。
対象ソフト | Ver 23.1.1 | Ver 23.5.2 | |
---|---|---|---|
3DMark:Time spy (Graphic) | 30,264 | 30,653 | + 1.28 % |
SOTTR:レイトレ無 | 232 FPS | 236 FPS | + 1.72 % |
Forza Horizon 5 | 148.3 FPS | 156.8 FPS | + 5.73 % |
Cyberpunk 2077 | 127.60 FPS | 136.01 FPS | + 6.59 % |
Dying Light 2(DX11) | 174.46 FPS | 184.88 FPS | + 5.97 % |
Far Cry6 | 140 FPS | 149 FPS | + 6.42 % |